日本口腔再生治療協会

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「幹細胞」とは?

私たちのカラダは約60 兆個、200 種類以上もの細胞が集まってできていますが、これらの細胞もはじめはたった1つの「受精卵」なのです。この受精卵は、何度も細胞分裂を繰り返して数を増やしていきます。また、その途中で「分化」という、それぞれの細胞が自分の役割に見合う形や機能を身につけ筋肉なら筋肉の細胞、神経なら神経の細胞というように細胞ごとに役割を持ち、増殖・分化していきます。 皮膚や血液のように、ひとつひとつの細胞の寿命が短く、入れ替わる組織を保つために再び細胞を生み出して補充する能力を持つ細胞や、私たちがケガや病気をしたときに足りない細胞を修復し損なわれた機能を補充してくれる能力を持った細胞。これらの大事な能力を持つ細胞を「幹細胞」といいます。この「幹細胞」があるから、私たちは受精卵から成長し、大人になってからも身体の維持ができるのです。

幹細胞の2つの能力

分化能
皮膚、血液など、体をつくる様々な細胞に変化する能力です。

自己複製能
自分と全く同じ能力を持った細胞に分裂する、つまり幹細胞が幹細胞に分身する能力です。

幹細胞の種類と特徴

全能性幹細胞(受精卵)
どんな種類の細胞にもなれる能力を「全能性」といい、この能力を持っているのは受精直後から 約 2 週間後の「受精卵」だけです。全ての細胞になることができる、まさに「生命の源泉」です。

多能性幹細胞(ES細胞)
ESとは、「EmbryonicStemCell」の略で、日本語では、「胚性幹細胞」といいます。つまり、胚の内部細胞を用いて作られた幹細胞です。胚は、受精卵が数回分裂し、100個ほどの細胞の塊になったもので、この胚の内部にある細胞を取り出し培養したものがES細胞です。ES細胞は、私たちの体を構成するすべての細胞になれる可能性があり、再生・移植医療への応用が期待され、多くの研究機関にて研究がすすめられています。しかし、受精卵の使用にあたり倫理的な問題がハードルになり実用化には困難な状況です。(人には未実施)

多能性幹細胞(IPS細胞)
「induced Pluripotent StemCell」の略。現在のところ研究途上。

体性幹細胞 体性幹細胞は、私たちのカラダの様々なところに存在する幹細胞です。この細胞は何にでもなれるのではなく、血をつくる造血幹細胞であれば血液の細胞、神経系をつくる神経幹細胞であれば神経系の細胞というように役割が決まっていると考えられていました。しかし、骨髄の中に存在する「間葉系幹細胞」は、筋肉や軟骨、神経などに分化する、いわゆる「多分化能」を持つことが明らかになってきました。つまり、間葉系幹細胞は、ES細胞やips細胞の様に、いろいろな細胞になることが可能なのです。そして、近年の研究で骨髄に存在する間葉系幹細胞と似た性質を持つ幹細胞が皮下脂肪内にも多く存在することがわか ってきました。これは、脂肪由来間葉系幹細胞といわれて、組織幹細胞の中で採取が簡単で、組織量も豊富に存在することから、現実的に幹細胞再生治療に活かせる治療細胞として注目され、その抽出培養技術の向上とともに、急速に実用化が進みました。私たちが進めている「自己脂肪由来間葉系幹細胞治療」は、まさにこの医療技術の集大成なのです。

加齢と幹細胞の関係

加齢と幹細胞の関係において、骨髄中の組織幹細胞の数が、新生児を1とすると80代では、新生児の1/200に まで減少する。幹細胞の減少と枯渇が老化の一因であることがわかってきました。

間葉系幹細胞の働き(細胞の代替と活性化)

組織が損傷すると、炎症が起こり、間葉系幹細胞(MSCs)がその部位に集まります。MSCsは多分化能を有するので、損傷細胞を代替する機能的細胞に分化します。また、MSCは炎症性サイトカインに反応して、炎症の進行を調節する免疫調節因子を産生することによって微小環境を調製するのにも役立ちます。MSCsはまた、内皮細胞、線維芽細胞、および最も重要な損傷部位の祖先細胞などの大量の成長因子を産生します。これらの因子および細胞の協調作用は、血管新生、細胞外基質のリモデリングおよび組織の祖先細胞の分化による組織修復を促進します。

間葉系幹細胞の潜在効果

間葉系幹細胞(MSCs)の有益な作用は、主にパラクリン作用によって媒介されます。MSCsは、多くの神経栄養及び血管新生因子を分泌し、神経細胞の成長と分化を促進し、血管新生、神経新生、アストログリアの成長及び活性化を誘発します。それらはシナプス形成を促進するので、シナプス結合および軸索再髄鞘を増進し、アポトーシスを減少させ、マクロファージ侵入及びミクログリアやTリンパ球の活性を減少させます。